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『移民とわたしたち』

開催日 : 2023年12月2日(土)〜12月8日(金)


主催 : 日本大学芸術学部映画学科映像表現・理論コース3年「映画ビジネスⅣ」ゼミ/ユーロスペース

上映協力 :空族/国立映画アーカイブ/松竹/スターサンズ/東映/東風/東宝/東北新社/ビターズ・エンド/マンシーズエンターテインメント/ユーロスペース/E.x.N/KADOKAWA/STAR CHANNEL MOVIES/The Finnish Film Foundation/The Match Factory

今年で13回目となる日芸映画祭のテーマは「移民とわたしたち」。
日本は1980年代から「外国人労働者」を受け入れ始め、2022年末には400万を超える外国人が在留カードを持って住む「移民大国」となった。このテーマにしたのは、2021年3月に起こった名古屋出入国在留管理局に収容されたウィシュマさんの死亡事件をきっかけに、渋谷や国会議事堂前で入管法改正案の反対のデモや集会が行われていたからだ。また、テーマを決めた直後の6月9日には国会で改正入管法が成立、外国人労働者拡大の閣議決定もされた。これらの一連の動向は私たちにとって極めて重要な問題である。
「移民」と一言で片付けられる言葉の背景には、どのような苦悩や苦痛があるのか。本映画祭では日本における移民を扱った作品と共に、日本人が移民として外国へ渡った作品、移民先進国の海外の監督が移民や難民を描いた映画も加えており、日本、そして世界の移民問題について考える映画祭になった。
「在日外国人」を言及する上で欠かせない在日コリアンについて、崔洋一監督の『月はどっちに出ている』とヤンヨンヒ監督の『かぞくのくに』を上映する。松山善三監督の『山河あり』と、石井裕也監督の『バンクーバーの朝日』は、日本人移民の外国での生き方を見ることができる。また、木村荘十二監督の『からゆきさん』や藤元明緒監督の『海辺の彼女たち』は、女性移民の苦しい境遇を捉えている。アキ・カウリスマキ監督の『ル・アーヴルの靴みがき』は、移民問題と共にカウリスマキ特有のヒューマニズムにも触れられる。
今年度のテーマの発案者で代表は中国人留学生、ゼミメンバーには在日コリアンもいる中で、我々は「移民」について考えさせられると共にレベルの高い作品を選出した。20世紀は「映像の世紀」と言われるが、同時に現在まで続く「移民の世紀」だったと、作品の選考を終えた今、痛感している。
今回の映画祭を通じて、新たな視点を得ると共に、自分と異なる文化的背景を持つ人たちに理解のまなざしを向けて欲しい。

(映画祭企画学生一同)


これまでの映画祭

※映画祭タイトルをクリックすると、チラシのPDFファイルが開きます。


第1回「映画祭1968」(チラシPDF)

映画『マイ・バック・ページ』に感銘を受けた学生たちが現代の視点で「1968」という時代を再評価するべく、学生運動そのものや、そこから生まれた世界の変化や激動を描いた作品を集めた映画祭。

第2回「新・女性映画祭」(チラシPDF)

学生が映画を学ぶ中で「こんなふうに私も生きたい」と心を動かされ、困難に立ち向かうヒロインたちから生きる手がかりを得たいと国籍や時代を問わず幅広い作品が選出された映画祭。


第3回「監督、映画は学べますか?」(チラシPDF)

映画を学ぶ立場から日本映画の未来を見つめることを中心に、21世紀を担う監督たちを招き、自主制作作品や秘蔵映像などの上映を行った今までにない映画祭。4名の監督による討論なども話題に。


第4回「ワーカーズ 2014」(チラシPDF)

これから就活を始める大学3年という時期だからこそ直面する「働くということ」について、映画が映し出してきた時代ごとの「働く」様子を通じて考え直す映画祭。


第5回「ニッポン・マイノリティ映画祭」(チラシPDF)

映画の始祖・リュミエール兄弟の派遣したカメラマンが19世紀末のアイヌ民族の姿を撮影していたことから始まり、映画はいつもマイノリティを映し出してきた。世界的に偏見と排他が蔓延する現代にこそ、学生の視点から日本の差別の戦後史を見つめ直す映画祭。


第6回「信じる人をみる 宗教映画祭」(チラシPDF)

地下鉄サリン事件、9・11、イスラム過激派のテロ事件…。宗教と社会が不穏に結びつく時代を生きた95年生まれの学生たちが「信じるとは何か?」に真っ向から向き合う映画祭。


第7回「映画祭『映画と天皇』」(チラシPDF)

前年8月に天皇陛下が生前退位の意向を表明されたことは、平成生まれの学生たちにとって天皇や日本について考えるきっかけとなった。日本国憲法が施行されて70年、映画はどのように天皇を描き続けたのかを考える映画祭。


第8回「映画祭『朝鮮半島と私たち』」(チラシPDF)

『キューポラのある街』(1962)に描かれていた、朝鮮半島と日本の歴史に学生たちは衝撃を受けた。「知らなかった」では済まされない過去や問題を「身近なもの」として考え直す映画祭。高い評価を受け、翌年ソウルでも本映画祭のプログラムが上映された。


第9回「映画祭『スポーツの光と影』」(チラシPDF)

2018年に発生した日大タックル問題と東京オリンピック2020の間で、学生はスポーツの在り方ついて考えた。スポーツ関連の報道から感じる同調圧力、相次ぐ体罰問題などに着目し、スポーツと映画それぞれが持つ“力”を見つめ直す映画祭。


第10回「映画祭『中国を知る』」(チラシPDF)

2020年、武漢から始まった新型コロナウィルスの感染拡大、香港の国家安全維持法の施行など、中国が世界各地でニュースにならない日はなかった。映画を通して中国、台湾、香港や日本との関係を「知る」映画祭。


第11回「ジェンダー・ギャップ映画祭」(チラシPDF)

昨今、さまざまな性的指向や性自認への理解が広まりつつある。時代と共に見方や評価が変わりゆく芸術、とりわけ時代の価値観が反映されやすい“映画”を学ぶ私たちだからこそ、見過ごされてきたこの問題に改めて向き合う映画祭。


第12回「領土と戦争映画祭」(チラシPDF)

2022年2月24日、ロシアがウクライナに侵攻し戦争が始まった。それまでどこか遠い存在だった戦争は短なものとなった。「この土地は誰のもの?」戦争について、国について、人々について改めて問う映画祭となりました。

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